ゴダールの決別

私の父の父の父が困難な務めを果たすときは、森の中のある場所へ行って火をおこし、静かに祈りを一心にささげること、願いはかないました。後に、私の父の父が同じ務めに直面したとき[言い伝えによれば]彼は同じ場所でこう言った。「火はおこせませんが、祈りは唱えられます」すると願いはかないました。後に…

ラシェル浮気者

スペイン人

父も森へ入り 言った

「火のおこしかたも祈りの奥義も知りませんが、願いがかなうこの場所を知っています。それで十分でしょう」そして願いはかなった

~ママは夢遊病で パパ不精~

[なんと悲しいことだ]シモンという名の人は?

町に行ってる。

ラシェルという女は?ラシェルだ

奥様も留守だ。ご用は?友達ですか?

すぐ戻る?

知り合い?知ってるの?呼び捨てとはね、小説の登場人物じゃないよ

たぶんそうさ!

物語を売ると聞いた。物語を買うんですか?

そのとおり

だが、同じ務めに直面した私は家の中で考えた。

[第一の書]

「もう火もおこせないし、祈りも唱えられないうえ、森のその場所も知らない。だが、まだ物語は語れる。」

 

ノン ノン…

画家は苦悩のなぞを明かしはしない[なんと]

あなたが絵の先生?

[悲しいことだ]

そのとおりジャック・ヴァッシェだ 本も扱う

[映画の定理]

パパが絵を習えと

何のために?

装飾の勉強

今は何をしているんだい?

アヌマスのリセの最終学年で歴史を習ってる。1789年に1914から1918年10月にはロシア革命

ロシア革命が終わったら会いにおいで 名前は?

マリネット・デュラス

ラファエル!デルフィーヌ!

なぜルター派の兵士はこれらの絵をやりで裂いたのかしら

ヨーロッパで一番キリスト教徒らしくないから

なぜ教会は中心をローマに?

組織の維持だ

そのとおり

やあ 絵の先生

本も売る!

明日妻が払うよ

二者択 この二冊

89フラン

どっちにするか

何を?

わからない

教えてあげよう

絵画は我々が外の光景からたどる軌跡を示してくれない

「アンジェの女性たち」を見て

光の中に描かれた人間の顔や動作に対するほとんど嫉妬に近い凝視を解明するには、はるか遠い太陽の光と強烈な闇の完全なる調和が必要である

 

リゴーさん 人生はどう?

せっ…石けんのようだ ぼ…牧師さん す…す…少しずつ減っていく

我々が耳を傾ける声に先人の声がこだましないだろうか

ほかの時代の女性たちの美は、現代の美と異なるのでは?

 

[第五の書]

人間らしく振舞うことや情熱は求めません

彼女のような誠実さも…

哀れな女だ

五時までじゃ短い

見事なフランス語です

夜を延ばすんだ

地上の夜は全員のもの 指図できません 民主的な成功例です

今夜試してみよう

神のご加護を

マックス!

ローレライ

もういいわ ご夕食は?

主人は泊まりよ

では失礼します また明日

誰なの

僕だ シモン

なぜここにいるの

[これこそ]

あのホテル買ったの?

すぐ戻るポールを待たせてる

君にキスしたかった

[これこそ三位一体]

ダメよ

なぜ そんな誇り高い?

ラシェル!

違うわ 態度は誇り高くても考え方は控えめ 本当よ

何かがおかしい

何なのか言って!いらいらするの!ごめん…これでいいの あなたを待っていたのが分からないのね うんざりよ 帰りは明日の朝のはず、そう思ってたのにすべてが狂ったわ!

キスを深刻に考えるな

これでいい?

別のやり方で

これしか無理よ 本当ならあなたはいないんだから

なあお前

お前?何のつもり 病気なの?

さっきの別れ方がよくない あれはなかった「シモンはラシェルを捨てるの」なんて言うとは…誰も信じない 聞いてみろ 君は睨みつけるように彼方を見てた 声が震えもしない 震えもしなかった 少しも

彼方なんて見ていない 波を見ていたの わたしのシモン 今の私は震えている さっきだってそう 

湖の色も変だった いつもの青さがなかった あの後で君は色をうまく形容した

聴いていたの?盗み聞きね

もう一度始めよう 君を抱く わが腕に

命令しないで 私の愛は生きてる あなたの帰りを待っているの 誓って本当よ お願いあのホテルを早く買って もう寝るわ

もう一度

[被造物でも]

なにを?

「お願い」と

[創造主でもない]

飴を食べるの?

変なの別のシモンみたい

そのとおり

前の方がいい

僕は君の恋人だ

違うわ

一人いるだろここにいる

それは夫よでも今は留守だから夫を待ってるのもう眠いから寝るわ

僕なら恋人にすぐなれる

無理よ

なぜだ 話が見えない

 

何も見えませんよ

あいまいな部分を残して そうすれば必ず見える 視覚が戻るはずよ 過去の罪をあがなえば…

使徒パウロ

すると姿は見えなかったんですね?

今の話に関しては… そう言ったでしょ?

中世のお話のようだ

テレビよりはましでしょ そうよ

寝るわ

私は眠りを恐れる漠然とした恐怖に満ちた大きな穴を恐れるように…だがどこにあるのか

私はどこに?

誰もがそう言う

神よ

君の肌はとても白い体中の血が髪の毛に逃げたようだ

私はどこにいるの

汝の恋人に抱かれていたのだ

おぞましい ごめんねシモン 汝ですって?どうしたの

ここは私の家だ 汝の家に似せて作ったのだ

どこから見ても同一人物をみることの始まりだった。見かけたものが現れるのをためらうようだ。

夏だから夜が短い マックスは「無理です」と言った でも今は夜だぞ間違えるな私が明るくした…

すべてのものが漠然と、だが至る所に淡い影を映す影を説明できる光も物が見えることを理由づける放射もない。

いったい誰なの?なぜ?

わたしは汝らすべての中にいる息子が一人いた汝らのために命を捨てた 汝らのために

すべて?あなたはこのアリの中にもいるの?

理論上は 昨夜シモンを私のよりどころとしたのだ

なぜ彼を?

心が弱いからだ そして汝は強い少なくともそう思う だが、しばしば間違える

答えてよ誰なの?どこから話しかけてるの?

先ほど起きたとき君は私の名を呼んだ

私が?さっぱりわからない

ほら所有形容詞をつけて台所でも呼んでた私は汝のものだ

シモン 何のマネなの お願いです何が起こったんですか

話してやろう

私と寝たわ

[すべてが静まりかえっていた]

[宇宙全体が広大な失敗作のように]

これがわたしの物語 すべてを一週間で造り、私は7日目に休息した。日曜学校でこう教わったはずだ。だが、私の休息中に他者が来たことは教えない。永遠だ。それが手を触れたため大混乱が起き、月曜日からの繰り返しが始まった。以来、至る所でいさかいが生まれた。レオパルディを?

イタリアの詩人?

そのとおり その時代を語っている。

私とは何があったの

君は2階に上がった 服を脱いだ 私も脱いだ

知らないわ そうかも

君は外の光を見つめていた 深くため息をついた

そのとおり

なにかをつぶやいた

ありうるわ

「不安と絶望を少しでも感じることがこの地上に存在できる最良の道」と

そうよ

私は下にいてベランダに入った

出たよ

そこからこの部屋へ

でも私が気を失って何も起きなかった 今は昼よシモンいいかげんにしてよ

もう一度説明しよう 今は夜だ はっきりさせねば 私がこの部屋に入った

じゃ私も演じるわ

わからない

恋人を持つこの不快感

恋人って愛することが目的なの ただそれだけ 開けた窓と新しいシーツが好き 主よシモンのことを考えた?いいえ考えてないわ

そう考えてなかった

あまり感心できない

私は選んだ苦悩に誠実であらねばならん

よくわからない言葉ね

当然だそんな単純な世界ではない 君の頭の形が変だったら誰が君を褒める?

皆をとりわけ自分を愛するってすてき みんなに思われることも… これは私の肉体 でもとにかく これはシモンの肉体彼は…

昔は喜劇と悲劇の混合こそが才気だと考えた。いまではこのふたつを分けたい。

神を演じてはならない姿は見えないのだから 登場人物じゃないのただの形態よ もう何度も言われてることでしょ

彼は

[シモンはあなたを訳もなく愛さないだろう]

他者に入り込み何をしている

キリスト今日の革新性は肉体の復活

[私はあなたを]

だが性器がある

[訳もなく愛さないだろう]

そのとおり

ありえぬことが起こる

なぜ私を?美人でもないし

そうだな だが私は貞淑な女が好きだ

いつも難しいことを求める人みたい 時代が悪いわ

貞淑さにかえたら私はすごく自信がある でもそれ以外は簡単なことしかできない 例えばシモンとの結婚生活 男を誘ったこともない 皆は完璧な主婦と思ってる そう望まれてるの いつか必ず試される日が来るわ きっと結果も平均的なもの試す価値もない

その日が来たんだ

すべてが速くすべてがゆっくり

最初の被造物が時間の流れを自覚したとき 笑うことを覚えた

 

ページは抜けてないけど見たいものがない

[私は見ない/分からない]

出来事とはある意味をもっているものよ

「わたしの似姿になれ」人間には与えられた戒律がある

「汝は己を聖別し、聖なるものにならねばならない」恋人たちと同じよ

いいかしら 見えないものをみて疲れたわ

じゃあ今は朝ってことね 今は朝なのねそうなんでしょ?

話を聞いてないな ラシェル 残酷な女だ 私は望むものを得た

あなたは何も持っていない愛するための肉体も シモンの肉体がないと他人とも関係できない

そうではない 正しくはこうだ

1932年 オランダ人 ヤン・オールトは銀河から遠ざかる星を研究した。仮説通り、引力は星々を引きつける。それらの位置と速度を観測することで、オールトは銀河の質量をはじき出した。それだけの引力を生み出す質量が目に見えている天体の2倍にあたると分かったとき、彼の驚きはいかに大きかったことか。では宇宙の残り半分はどこにある。実体のない物の誕生だった。偏在するはずだが、目には見えない。賢明な人の死の床で自らの言葉に輝きがないので、光の価値を知るのだが、よき闇に入ることには

抵抗する。死に直面したまじめな人は、まばゆい光景に視力は失う目が流星のように燃えるのを知る。そして光を失うことに憤慨するのだ。わが父よ、この惨めな気高さを呪いたまえ 激しく流れる涙でわれに祝福を。

お願いだ 夜更けに忍び込んではならぬ

私の愛がシモンを暗くさせてるとでも?

彼の愛で汝も暗くなっている

シモンの首に腕を巻きつけるとき…シモンの首よ

分かってる

2本の腕を差し伸べゆっくりと狭めてゆく 両の手を…両の手を近づけついに指をからめ合う 愛の仕草に似ていない?

何がだね

祈りの仕草が…  

午前4時 午前5時

第三幕の始まり

シモンはいない

15分待つわ カフェに直接行ったのよ

すべては一人に 一人は他者の中に 3つの位格がある

牧師さんに聞いてくる

ご主人の名前は?

 

怒ってる?

騙されたけど慣れてるよ

友情をどう思う?

なんのことだ その言葉を知らない

よく使うわ

いらいらする 何の話だ

友情は人の心奥深く流れているものでいろんな人を結び付け完全に対等な関係を作る

ピエール マニー

ほらね偶然の出来事なんてない

そうは思わない たぶん…そうかも

人が信じるのは真実の光景だ

言ったと思うけど私は言葉に動かされる女 経験も責任も野心もないわ どうやって闘えるの 行くわ

出来事とはある意味を持っているもの

物語とは語る行為を通過してこそ作られる 

[なんと悲しいことだ]

我々はどんな幕が上がれば夢からさめるのか。なぜわざわざ目覚めの時に夢を光へと送り届けるのか。誰にで目に見えぬ夢はある。オーケストラが音合わせを始めると、我々を光の高みにまで引き上げる。その時二人の手は触れては離れ、お互いの体におそる触れ合う。相手に夢を見させたまま闇に戻すこともなく…光のない闇夜から脱け出すのだ。愛し合うごとく…

顔が広いわ

[理由もなく愛されて]

それが仕事だ

私の知覚は何もなかったと告げる。昨日からあなたのせいで口にする言葉は一つ、愛だけ。悲しいことね そう言わせないで。ほかの人以上に苦悩をお与えください。あきらめたくはない。あきらめるのはつらい。いかに神の御心に身をゆだねるか、愛に身をゆだねるべきか、実在する私ではなく私の内にある世界を愛して。

お願いです。

本当に不滅の存在になる気はないか?

不滅になって何の役に立つの

誰もが望んでいるものだ

死ななかったらどうなるの終わりがなくちゃ 皆と違うかしら

誇り高く 傲慢な人だ

態度は誇り高く 考え方は控えめに

前に言ってた

あなたとは知らずにね シモンだと思ってたのよ!

初めての喧嘩だ 愛してる なぜ私ではないと思う ラシェル 私はシモンだ

行くぞ

はい隊長

戦争があれば…

遅れるぞ

神よ

遅くなるから食事は先に済ませて

さあ

各人は己のため 描写されないものなど何もない

ユーゴスラヴィア

[空は金ぱくの中に穴をうがち]

人生の厳しさを多く与えたときに主はそれを拒む勇気も奪ったのです。ある事柄を除いて…

リュド 戦争に行くの?

ええドナデュー夫人

[十月は検電器のように震えながらまどろんでいる]

ダンジュとデネジーの間を通って女が国に入る

こんにちは

独りでもなんとかなるもんだ 独りでもなんとかなる 耐えられんのは他人を奪う不当な試練を見ることだな

ドナデュー夫人の話か?ただの悪夢さ俺たちだって見る

[穴の中のことだけがあなたの興味の対象]

哀れだな 欠点がなければシバの香料でも隠せない

そうじゃない!

いいんだ

分からんのかシモン ホテルを後悔するぞ 修理工場とは違う

わかってるよ ポール

君のせいだぞ ラシェルに会いに帰ったからだ

二時間後にはここにいた だが僕のせいだ 署名は?

名前が書いてあるだろ?

信仰してるふりだけで信者と認めよう 賢い教会が考えだした

リュド

悪賢い連中だな 信仰というより病気だよ

人間のもっとも根源の本能は真実との闘い つまり現実とだ

シャルル・ペギーの真実の悲しさか?

それ以上にルナンだ

公理1 財産の否定の否定は肯定である

定理 未知数Xの存在は神と類似している

もしわが身を神にささげるなら

[小説のように]

ラシェル

今度会うのは9月ね

夏休みはどちらへ?

きっとこちらに残るわ

[誰の周りにも目に見えぬ夢がある]

先生、宿題は?

なしにする?

はい!!

乗っていく?

ページを数え、読み終えた枚数に驚き、残りの少なさに不安を覚える

彼が嘘をついているとでも?

50ページしかない この寂しさより快いものはない

目は見えないが耳は聞こえます

かくてすべての世界が消えた。アリエル号がいかりを降ろし再出航のために立ち寄った港も消えた。あの頃が一番良かった、フレデリックが言った。そうだろうな、あのころが一番良かった!デローリエも言った。「感情教育」!いいわ、ところでミミとドロシーとギルバートは?変わりはない。あの三人ならこの先も変わらないよ。僕らやクイン夫妻が変わらないようにね。殺人は殺された人の人生しか変えない。殺した方の人生も変わるかな。たぶんね、ノラが言った。でもなんだか物足りないわ。

「影なき男」

原書がいいわ

お願いします

皆がどうにか自分の物語を話しました。

あとはあなた

なぜです

怖がらずにアメリカ風にオフレコで

なにもなかった

あなたに似たあの男は?

男は僕しかいなかった

闇が自分を覆うこともある

何もなかった

ウソだ 普通でないことが起こったはずだ 奥さんが話したでしょ

あれは僕だった 出かけてすぐ戻ったんだ

そうかな

愛を受け入れねば ラシェルを愛している

この車でレースに勝つのよ!

この車でレースに勝つんだ!

わかるかい?真実は子供の口から生まれる 失礼

あの視線が生徒たちを信用させた。シモンとラシェルについて話すことはない。あのことは映像と物語を超えたところで起こった。

こちら側で

なんですか?

リトアニアのアメ ハンガリーの下着は? 要らない

失礼した 心を読んだんだ 映像と物語のこちら側の部分をね こちら側だ 正しいかもしれん 神よ 罪のない者だけが…

まず石を投げよ!

 

夜私が起きるとき、問題は近くのことでも遠くのことでも私に関する出来事でも語られる真実でもないと分かる。それは何かの場面や何かの始まりではない。一つの光景 そう、ある瞬間。だが無益だ。私では何もできず、私には何もない存在。あることを除けば私にとって未知なることは何もない。だが名前も伝記もなく、記憶を拒み、語られることを望まぬ存在。記憶はあってもここではなく、しかし、よそのどこにもない。完全に可能性を超えた場所。記憶は闇のものと言われれば、闇は記憶を持たないと答える。何の話ですか。聞かれたら答えるわ。それを尋ねる人は誰もいないと。

 

 

 

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